ライオンズに久々の連勝をもたらしたのは、今井の力投であり、源田の守備であり、
マキノンや外崎の粘り強い打撃だけれども、
今日は、二軍から戻ってきた長谷川信哉の存在が際立った。
7月1日のベルーナドームでのソフトバンク戦。
0-4の劣勢から、渡部の1発から息を吹き返し、一気に6回に逆転をした。
その後の7回、1死3塁。ランナーは周東。
野村の打球は、明らかに浅かった。
流石の周東でも、センターの長谷川も強肩だ、自重すると思われた。
しかし、彼は勝負をかける。
ギリギリのタイミングで離塁すると、センターの長谷川からのバックホームが少し高めに来ることを見越し、
低いスライディングで、キャッチャーのタッチを掻い潜る。
芸術的なランニングと言えるが、長谷川の負け、と言える攻防だった。
そして、同点の10回表には、緩慢なプレーで、センター前ヒットの処理を誤り、2塁打にしてしまい、
そのランナーが決勝のホームを踏む。
彼は、この一連のプレーの懲罰とも言える処置で、7月3日に二軍に抹消された。
それから10日。最短で彼は戻ってきた。戻されてきた。遠征中の北九州へ。
リベンジの機会は、5回に訪れる。
4、5番が繋いで作ったチャンスを、6番の山野辺が送れない。
チャンスが潰えたかに見えたその初球を、強くセンターに叩く。
反撃の口火を切るツーベースを放つ。そして、山野辺を救う。
今日一軍昇格の #長谷川信哉 選手のタイムリーで1点差に!
— 埼玉西武ライオンズ (@lions_official) July 12, 2023
この後も内野ゴロの間に追加点を奪い、同点に追いつきます!#埼玉西武ライオンズ #seibulions pic.twitter.com/aIKvtW8gYz
しかし、彼に浮ついた表情はない。引き締まった表情で、ベンチを見る。
そして、リードを2点に広げた7回。
尻上がりに調子を上げた今井が、9番の甲斐に粘られて痛打される。
センター前に落ちると思われたその打球を、彼は、正面から意図的に体をずらし、
ドライブするボールを、斜めにグラブを出すことで、捕球しやすくする形で、スライディングで、
グラウンドから10センチ程度のところで捕球する。
先発の #今井達也 投手は中盤ギアを上げ7回2失点の力投!
— 埼玉西武ライオンズ (@lions_official) July 12, 2023
7回は #長谷川信哉 選手の好プレーもあり、3者凡退に抑えています!#埼玉西武ライオンズ #seibulions pic.twitter.com/Td8K7Vt56U
プレーも素晴らしいが、なんといっても、
その後の、表情が素晴らしい。
笑顔もなく、はしゃぐこともなく、強い視線で、投手の今井のエールに応える。
「これは、取れるボールだから」
と言わんばかりに、当たり前風を吹かせるその姿は、
育成から上がってきて、がむしゃらに一軍をこなしている姿から、
自分が外野を引っ張る存在になるのだという、強い自覚を感じさせる。
ボーンヘッドでの二軍落ちが、彼を強くした。
プレーを強く、心を強くして、彼は帰ってきた。
ライオンズに、たくましい外野の柱が生まれようとしている。
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