あかねいろ(35)チームの特徴を考える

  朝丘との試合は、僕たちのチームの方向性を大きく転換させなければならないのだということを、明確に示していた。 


  1つ上の大元さんたちの代は、どちらかというとBKがリードしているチームで、大元さんや林岡さんの走力を活かした戦い方をしていた。しかし、結局はそのチームも最後の試合では、ボトルネックであったFW戦での弱さにつけこまれ、BKの出番はほとんどなく終戦した。

   今の小川さんたちのチームも、基本的には同じ方向性できているが、メンバーは大きく変わっていて、県代表クラスのBKはセンターやウイング中心にプレーしている東田さんだけで、他は僕が1年生で、ウイングのもう1名も1年生で、スタンドオフの小山さんもック力はあるけれどボールさばきはもう一つ、というところで、明らかに去年よりは見栄えがしない。現に朝丘戦では、県のTOPクラスのチームとは、BKで勝負しても相手にならない、ということが明確になった。


  その一方で、FWは去年のチームから一気に様相が変わってきている。

  何と言っても、1年生で110キロクラスのプロップが2名、185cmを超える、ロックやナンバー8ができるメンバーが2名入り、もともとフロントローでサイズのあった横田さんを加えると、なんとフロントローは合計で300キロクラス。超高校級。さらに、高さも一気に加わり、180cm以上が5人になり、これも地方の一介の高校ラグビーチームでは珍しいレベルで、スクラム、ラインアウトのセットプレーの安定感は飛躍的に向上した。ただ、走力はその反面でがくんと落ちてしまっており、朝丘戦のように振り回されると全くついてこれない、というところではあった。


  ただ、このサイズだと、モールの強さもどんどんと際立ってきてて、敵陣の22mくらいに入れば、モールさえ組めばかなりの確率でトライまで持っていける、そんなFWになってきていた。朝丘との試合ではそんなシチュエーションはなかったけれど、相手から押されることに対しては、トライは取られてしまってはいるけれど、かなりしっかりと長い時間抵抗していた。


  そして、同じ日の次の試合では、相手のレベルが下がったこともあるけれど、25分の試合でモールで4トライ。そのうち1つは、ハーフウエー付近からずるずるとモールをインゴールまで50mくらい押し込んで行った。



  3月の初旬に春の大会のスケジュールが決まり、僕たちはベスト16で北部の鷹川工業と当たることになった。第3シード。伝統的にFWが強いが、今年は少し小ぶり。その反面、BK陣にはU18候補が2名いて、朝丘にも負けない陣容になっている。  僕たちのターゲットは、まずはここをクリアすることになってくる。ここを抜いて、ベスト8までいくと、準々決勝の相手は恵まれそうだった。

inokichi`s work(ラグビーとライオンズと小説)

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